「月次決算が終わらない…」「経費精算のチェックに時間がかかりすぎる…」「毎月同じような作業の繰り返しで疲れた…」
こんな悩みを抱えている経理担当者の方は少なくないのではないでしょうか。
経理業務は正確性が求められる一方で、定型的な作業も多く、業務効率化の余地が大きい分野です。ChatGPTなどの生成AIを活用することで、月次決算の時間を大幅に短縮したり、経費精算のチェックを効率化したりすることが可能になります。
本記事では、経理担当者がChatGPTを実務で活用するための具体的な方法を、すぐに使えるプロンプト例とともに詳しく解説します。
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目次
- 経理業務でChatGPTが役立つ理由
- ChatGPTの基本的な使い方
- 月次決算業務の効率化
- 経費精算チェックの自動化
- 仕訳入力の支援
- 財務レポート作成の時短
- 勘定科目の判断支援
- 税務調査対応の準備
- うまくいかないときのチェックリスト
- 業務で使う際の注意点
- まず自分のレベルを診断してみよう
- まとめ
経理業務でChatGPTが役立つ理由
定型業務が多い
経理業務の多くは、月次決算、経費精算、仕訳入力など、ある程度パターンが決まった作業です。ChatGPTは、こうした定型的な作業を効率化するのが得意です。
専門知識の検索が速い
「この経費は何の勘定科目にすべきか」「減価償却の計算方法は」といった疑問に、ChatGPTは即座に回答してくれます。会計基準や税法の基礎知識を素早く確認できるため、調べ物の時間を大幅に削減できます。
文書作成の負担を軽減
財務レポート、予算書、経費精算の説明文など、経理業務では様々な文書を作成します。ChatGPTを活用することで、これらの文書作成時間を短縮できます。
ChatGPTの基本的な使い方
経理業務でChatGPTを活用する前に、基本的な使い方を押さえておきましょう。
アカウント作成
ChatGPTは無料で利用を始められます。
- 公式サイト: https://openai.com/chatgpt
※機能や制限は頻繁に更新されます。最新情報は公式サイトをご確認ください。
無料版でも基本的な機能は十分に使えますが、業務で本格的に活用する場合は有料版(月額20ドル程度〜)を検討してもよいでしょう。有料版では、応答速度が速く、利用回数の制限が緩和されます。
プロンプト(指示文)の書き方
ChatGPTに質問や依頼をする際の文章を「プロンプト」と呼びます。効果的なプロンプトを書くコツは以下の通りです。
- 具体的に指示する: 「経費精算を効率化したい」ではなく、「経費精算書のチェックポイントをリスト化してください」
- 役割を設定する: 「あなたは経験豊富な経理担当者です」と前置きすると、より実務的な回答が得られます
- 形式を指定する: 「箇条書きで」「表形式で」など、欲しい形式を指定する
- 段階的に詳細化する: 最初は概要を聞き、その後で詳細を深掘りする
月次決算業務の効率化
月次決算は経理担当者にとって最も負担の大きい業務の一つです。ChatGPTを活用することで、作業時間を大幅に短縮できます。
決算スケジュールの作成
毎月の決算スケジュールをChatGPTに作成してもらうことができます。
プロンプト例:
あなたは経験豊富な経理担当者です。
月次決算のスケジュールを作成してください。
条件:
- 決算日: 毎月末
- チーム構成: 経理担当者3名
- 主な業務: 売掛金・買掛金の確認、在庫棚卸、減価償却計算、試算表作成、経営レポート作成
- 締め切り: 翌月5営業日以内
スケジュールは表形式で、タスク名、担当者、期限、所要時間を含めてください。このプロンプトで、具体的な作業スケジュールが得られます。自社の状況に合わせて調整すれば、すぐに使えるスケジュール表が完成します。
決算チェックリストの作成
月次決算で漏れがないよう、チェックリストをChatGPTに作成してもらえます。
プロンプト例:
月次決算のチェックリストを作成してください。
以下の観点を含めてください:
- 売上・売掛金の確認事項
- 仕入・買掛金の確認事項
- 経費精算の確認事項
- 在庫関連の確認事項
- その他重要な確認事項
各項目には、チェックボックス形式で、具体的な確認内容を記載してください。試算表の数値チェックポイント
試算表を作成した後、数値に異常がないかをチェックするポイントをChatGPTに確認できます。
プロンプト例:
試算表を確認する際のチェックポイントを教えてください。
特に以下の観点で:
- 前月比で大きく変動している勘定科目の確認方法
- 残高がマイナスになってはいけない勘定科目のリスト
- 金額が0になることが不自然な勘定科目
- 貸借バランスの確認方法
具体的な例を交えて説明してください。経費精算チェックの自動化
経費精算のチェックは、件数が多いと非常に時間がかかります。ChatGPTを活用することで、チェック作業を効率化できます。
経費精算のチェックポイント整理
経費精算書をチェックする際の観点をChatGPTに整理してもらえます。
プロンプト例:
経費精算書をチェックする際のポイントをリスト化してください。
以下の観点を含めてください:
- 領収書の要件(日付、宛名、金額、但し書き)
- 不正が疑われるケース
- 税務上の注意点
- よくあるミス
チェックリスト形式で、優先度の高い順に並べてください。経費の勘定科目判断
「この経費は何の勘定科目にすべきか」という疑問に、ChatGPTが即座に答えてくれます。
プロンプト例:
以下の経費をどの勘定科目に仕訳すべきか教えてください。
経費内容: 社員研修のためのオンラインセミナー受講料(1名あたり3万円)
選択肢:
- 研修費
- 教育訓練費
- 福利厚生費
- その他
理由も含めて説明してください。経費精算の説明文作成
申請者から「この経費は何に使ったのか説明してほしい」と言われた際、ChatGPTに説明文を作成してもらえます。
プロンプト例:
以下の経費について、経営層への報告用の説明文を作成してください。
経費内容: 会計ソフトのクラウド版への移行費用(初期費用50万円、月額費用3万円)
目的: 経理業務の効率化、リアルタイムでの財務状況把握
期待効果: 月次決算の作業時間を2日→1日に短縮
簡潔でわかりやすい文章で、200文字程度でお願いします。仕訳入力の支援
仕訳入力は経理業務の基本ですが、複雑な取引では判断に迷うことがあります。ChatGPTを活用することで、適切な仕訳を素早く確認できます。
複雑な仕訳の確認
複雑な取引の仕訳をChatGPTに確認してもらえます。
プロンプト例:
以下の取引の仕訳を教えてください。
取引内容: 固定資産(備品)を100万円で購入。代金は現金50万円、残り50万円は翌月末払い。
仕訳の形式:
借方: 勘定科目 / 金額
貸方: 勘定科目 / 金額
理由も含めて説明してください。仕訳のパターン化
よくある取引の仕訳パターンをChatGPTにまとめてもらえます。
プロンプト例:
以下の取引パターンについて、標準的な仕訳を教えてください。
取引パターン:
1. 売掛金の回収(現金)
2. 売掛金の回収(銀行振込、手数料差し引き)
3. 買掛金の支払い(銀行振込)
4. 従業員への給与支払い
5. 事務用品の購入(現金)
各パターンについて、仕訳例と注意点を記載してください。仕訳ミスのチェック
入力した仕訳に誤りがないか、ChatGPTにチェックしてもらうこともできます。
プロンプト例:
以下の仕訳が正しいかチェックしてください。
仕訳:
借方: 交際費 50,000円
貸方: 現金 50,000円
取引内容: 取引先との会食費用(5名分、1名あたり1万円)
問題があれば指摘し、正しい仕訳を提案してください。財務レポート作成の時短
経営層への財務レポートは、データをわかりやすく伝える必要があります。ChatGPTを活用することで、レポート作成時間を短縮できます。
数値データの要約
月次の財務データをChatGPTに要約してもらえます。
プロンプト例:
以下の財務データを経営層向けに要約してください。
当月実績:
- 売上高: 5,000万円(前月比+10%、予算比-5%)
- 売上総利益: 2,000万円(売上総利益率40%、前月比+8%)
- 営業利益: 500万円(営業利益率10%、前月比+15%)
- 経常利益: 450万円(経常利益率9%、前月比+12%)
主なポイント:
- 売上は増加したが、予算には未達
- 利益率は改善傾向
- 販管費が前月比で5%削減できた
この情報を、経営層が一目で理解できる形式で要約してください。箇条書きで3〜5項目程度。グラフの説明文作成
グラフや表を作成した際、その説明文をChatGPTに書いてもらえます。
プロンプト例:
売上高推移グラフの説明文を作成してください。
データ:
- 4月: 4,500万円
- 5月: 4,800万円
- 6月: 5,000万円
- 7月: 5,200万円
- 8月: 4,900万円
トレンドと特徴を簡潔に説明する文章を、100文字程度で作成してください。予算と実績の差異分析
予算と実績の差異について、ChatGPTに分析コメントを作成してもらえます。
プロンプト例:
以下の予算と実績の差異について、分析コメントを作成してください。
項目: 販売費及び一般管理費
予算: 1,500万円
実績: 1,650万円
差異: +150万円(予算超過)
主な要因:
- 広告宣伝費が予算比+100万円(新商品プロモーション強化のため)
- 旅費交通費が予算比+50万円(営業活動活発化のため)
この情報を、経営層への報告用の文章にまとめてください。問題点と対策案も含めてください。勘定科目の判断支援
経理業務では、「この取引はどの勘定科目にすべきか」という判断に迷うことがよくあります。ChatGPTを活用することで、適切な勘定科目を素早く確認できます。
勘定科目の選択
プロンプト例:
以下の取引に適切な勘定科目を教えてください。
取引内容: 社内イベント(忘年会)の費用(社員20名分、1名あたり5,000円、合計10万円)
選択肢:
- 福利厚生費
- 交際費
- 会議費
- その他
理由と税務上の注意点も含めて説明してください。勘定科目の使い分け
似た勘定科目の使い分けをChatGPTに確認できます。
プロンプト例:
「消耗品費」と「事務用品費」の使い分けについて教えてください。
具体例を含めて、どのような場合にどちらを使うべきか説明してください。また、一般的な会計実務での取り扱いについても教えてください。勘定科目一覧の作成
自社でよく使う勘定科目の一覧をChatGPTに作成してもらえます。
プロンプト例:
中小企業でよく使う勘定科目のリストを作成してください。
以下のカテゴリごとに、主要な勘定科目を5〜10個ずつリストアップしてください:
- 資産
- 負債
- 純資産
- 収益
- 費用
各勘定科目について、簡単な説明も付けてください。税務調査対応の準備
税務調査は経理担当者にとって大きな負担です。ChatGPTを活用することで、事前準備を効率化できます。
よくある質問の準備
税務調査でよく聞かれる質問をChatGPTに確認し、回答を準備できます。
プロンプト例:
税務調査でよく聞かれる質問と、その適切な回答方法を教えてください。
特に以下の観点で:
- 売上の計上基準
- 経費の妥当性
- 在庫の評価方法
- 減価償却の計算方法
各質問について、どのような資料を準備すべきかも教えてください。必要書類の整理
税務調査で求められる書類をChatGPTに整理してもらえます。
プロンプト例:
税務調査で提出を求められる可能性のある書類をリストアップしてください。
以下のカテゴリごとに:
- 帳簿類
- 契約書類
- 証憑書類
- その他
各書類について、保管期間と準備のポイントも教えてください。うまくいかないときのチェックリスト
ChatGPTを経理業務で活用する際、うまくいかないことがあります。以下のチェックリストで確認してみてください。
回答が期待と違う場合
- プロンプトが具体的か(漠然とした質問になっていないか)
- 役割を設定しているか(「あなたは経理担当者です」など)
- 欲しい形式を指定しているか(箇条書き、表形式など)
- 前提条件を明示しているか(業種、規模、会計基準など)
解決策: プロンプトをより具体的に書き直す。必要な情報を追加で提供する。
回答が不正確な場合
- 専門的すぎる質問ではないか
- 最新の税法や会計基準に関する質問ではないか
- 個別の判断が必要な質問ではないか
解決策: ChatGPTの回答は参考情報として扱い、必ず専門家(税理士、会計士)や公式な情報源で確認する。
回答が長すぎる・短すぎる場合
- 文字数や項目数を指定したか
- 「簡潔に」「詳しく」などの指示を追加したか
解決策: 「200文字程度で」「箇条書き5項目で」など、具体的な分量を指定する。
何度も同じような回答が返ってくる場合
- 質問の角度を変えてみたか
- 具体例を追加したか
解決策: 「別の視点で」「具体例を交えて」など、アプローチを変える指示を追加する。
業務で使う際の注意点
ChatGPTを経理業務で活用する際には、いくつか重要な注意点があります。
機密情報・個人情報の取り扱い
注意点: ChatGPTに入力した情報は、サービス提供者のサーバーに送信されます。以下のような情報は入力しないでください。
- 取引先の具体的な社名、担当者名
- 具体的な金額(実際の売上高、利益額など)
- 個人の給与情報、社会保険番号
- 銀行口座番号、クレジットカード番号
対策: 情報を一般化したり、仮の名称・金額に置き換えたりして使用します。例えば、「A社」「取引先企業」「売上高X万円」といった表現を使い、後から実際の情報に置き換える方法が安全です。
会社のポリシー確認
企業によっては、生成AIの業務利用について独自のガイドラインを設けている場合があります。自社の規定を確認してから使用してください。
特に、上場企業や金融機関など、情報管理が厳格な業界では、事前承認が必要な場合があります。
ファクトチェックの必要性
ChatGPTは、もっともらしい文章を生成しますが、内容が必ずしも正確とは限りません。経理業務で使用する前に、必ず事実確認を行ってください。
特に確認が必要な情報:
- 税法や会計基準に関する内容
- 勘定科目の判断
- 仕訳の方法
- 計算式や数値
これらは、税理士や会計士、または信頼できる専門書・公式サイトで確認することをお勧めします。
最終責任は人間にある
ChatGPTは強力なツールですが、最終的な判断と責任は人間が行う必要があります。
- ChatGPTの回答が適切か
- 自社の状況に合っているか
- 税務上問題がないか
これらは人間の目で確認してください。特に、税務申告や決算書類など、法的責任が伴う業務では、ChatGPTの回答をそのまま使うのではなく、必ず専門家の確認を得ることをお勧めします。
継続的な学習の重要性
ChatGPTは便利なツールですが、それに頼りすぎると、自分自身の専門知識が身につきません。ChatGPTを「学習のサポート」として使い、自分でも理解を深めていく姿勢が大切です。
まず自分のレベルを診断してみよう
ChatGPTを経理業務で活用する前に、現在の生成AIに関する知識レベルを把握しておくことをお勧めします。
生成AIリテラシー診断では、15問の質問に答えるだけで、あなたの生成AI活用レベルを客観的に測定できます。診断結果に基づいて、どの分野の知識を強化すべきか、どのような学習リソースが適しているかといった情報が得られます。
診断は約10分で完了し、無料で利用できます。定期的に診断を受けることで、自身の成長を確認することもできます。
まとめ
経理担当者がChatGPTを活用することで、業務効率を大幅に向上させることができます。重要なポイントをまとめます。
- 月次決算の効率化: スケジュール作成、チェックリスト作成、試算表のチェックポイント確認にChatGPTを活用
- 経費精算の自動化: チェックポイント整理、勘定科目判断、説明文作成で時間短縮
- 仕訳入力の支援: 複雑な仕訳の確認、パターン化、ミスチェックに活用
- 財務レポート作成: 数値データの要約、グラフ説明文、差異分析コメント作成で負担軽減
- 機密情報の取り扱いに注意: 実際の社名や金額は入力せず、一般化して使用
- ファクトチェックは必須: ChatGPTの回答は参考情報として、必ず専門家や公式情報源で確認
ChatGPTは経理業務の効率化に役立つ強力なツールですが、あくまで「支援ツール」です。最終的な判断は人間が行い、専門知識を身につけながら活用していくことが、長期的な業務改善につながります。
まずは小さな業務から試してみて、徐々に活用範囲を広げていきましょう。
最終更新日: 2026年1月25日
執筆者: 生成AIリテラシー診断チーム
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